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人とは違う時間帯


退職の手続きのため外出。帰りに買いだしもする。

お天気がよくて人気のない公園のベンチに座り、水分補給をする。

「世の中の多くの人が活動していない時間帯に活動してみる経験はなかなかいいものだ」というのを本で読んだな、と思い出す。


ひとり暮らしに憧れていた頃、ひとり暮らしの本をたくさん読んだ。そのうちの1冊にこのくだりは出てきた。

エッセイマンガや文章を書く人で、ほかの「部屋を借りるときに気をつけるポイント」や「ひとり暮らしに必要なものリスト」といった実践的な内容ではなく、ひとり暮らしをしたときの高揚感やどんなことをやったか、などがメインの内容だった。

どこかに勤めているわけではないので、時間が自由だった。その人は深夜に友達と遊んだり、深夜にひとりでふらふらと近所を歩いたりコンビニに買い物に行ったりしたことを書いていた。それまでは朝起きてある程度の夜の時間帯になると寝る、という生活をしていたが、そういう枠にとらわれる必要がなくなったので「これまで知らなかった時間帯」に外出してみた。そうしたら世の中にはいろんな人がいて、いろんな時間があって、自分の知らないことがいっぱいで、こういう時間があることを知ることができたのはよかったなぁ、としみじみ書いてあった。

それが私には印象的で、実際ひとり暮らしを始めて、自分も実家にいるときなら「こんな時間からどこ行くの!」と言われていた時間にスーパーにヨーグルトを買いにいったとき、めちゃくちゃ興奮した。たったこれっぽっちのことなのに。

でもこれはいつまでも私の中に残っていて、しんとした深夜やめちゃめちゃ早い時間に外に出ると思い出す。


今日は、真っ昼間だったけど、平日で人通りも少なく、誰もいない公園でぽっちりベンチに座ったときにふと思い出したのだ。いろんな時間帯があるんだな。


この本に出会ったときは単行本だったが、のちに文庫化された。あとがきに、文庫化にあたり髪を切るようにばっさばっさと内容を削ってすっきりした、と書いてあった。時代が流れ内容がそぐわなくなった部分もあるだろう。しかし私はその削られたか所の「魚の形をしたお皿」のエピソードが好きだったので、そこがなくなり全体的にすっきりはしたのだけど、ぼこぼごしていて垢抜けてなくて、でも精一杯で目一杯ひとり暮らしやひとりを楽しんでいる文章が好きだったので、早々に文庫を手放してしまった。



明日も手続きのため外出予定。今日の手続きは不備満載で、むっとしながら大急ぎで回収せねばならんのだ。期限がめっちゃ迫っていて、本家で事情を話したら対応してくれた人がびっくりするほど焦っていた。よし、がんばろう。

ちなみに片づけは、苦手エリアに入ったようでなかなか進まなくなってしまった。今日の可燃ゴミと明日の不燃ゴミの回収日にゴミを出したら、ちょっとは達成感が持てるかも。こちらもがんばろう。