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旅の一枚の布


すごくたくさん本を読んでいた時期に、エッセイや旅行記を好んで選んでいたことがあった。

女性のひとり旅についての本もたくさん出ていた。多分、女性複数人での旅は多かったが、ひとりは珍しかったのだと思う。旅館では女性ひとり客はいやがられる、なんてことも聞いたことがあったし。

本の中にも、いかに安全を確保するかや、女性ならではのお役立ち持ち物リストが書かれていた。

私は不安が強いほうなのでやらなかったが、バックパッカーとして海外を旅する女性の本もあり、その中の多くに「一枚の布を持っているとよい」とあった。

うろ覚えだが

  • あまり清潔でないベッドに敷いて快適な睡眠時間を得る
  • 夜間移動するバスや電車で羽織って寝る
  • 日差しを避ける
  • 敷物にする
  • 風呂敷のように使う

などがおすすめ理由として挙げられていた気がする。


なぜこんなことを急に書き出したかというと、肌寒くなって布団も厚めのものを出したり、毛布がすぐに使えるようにしたりしたときに、一枚の布も出すからだ。

その布はアジアン雑貨を扱う店で買った。明るい黄緑色のコットンの織りで、やや濁った赤い染料で同じ象がだいたい同じ間隔でスタンプされているものだ。

私はそれを初夏には敷布団に敷いてシーツにしたり、薄い上掛けとしてくるまったり、冬はこたつの上掛けにしたりして、使っている。

そして思い出すのだ、あのバックパッカーの女性たちを。

いくら小さく畳むなり巻き寿司のように巻いても、それなりの大きさになる。そして重い。彼女たちが言っていた布としては、私の布は大きすぎるのだろうか。しかしシーツ代わりにするくらいならそれなりの大きさもいるだろうし。もっと薄くて軽いものなのかしら。と想像してみるが、結局、著者の意図する布がどの程度の大きさなのか、今でもさっぱりわからない。


真夏は手ぬぐい1本だが、それ以外の季節の旅にはくびまきを持っていく。最近のお気に入りは薄手の青いコットンに鳥のシルエットが白抜きになっているストールだ。ふんわりしていてちょっとかさばるが、広げるとシーツにはならないが肩から羽織ると上半身はなんとなく包まれるくらいの大きさだ。

旅には、バックパック、上着、帽子、くびまきが重要であると考えている。旅の大先輩・スナフキンだってこのスタイルだ。私にとってこれらは、RPGやモンハンにおける防具だ。セット装備かもしれない。


去年から「来年は年に2回、旅に出てやる!」と思っていた。6月に北海道に行ったので「もう1回!」と考えていた。関西を考えていたが、ついうっかり東京を狙うことになった。

白抜き鳥の青いストールを持って、そのうち旅立つのだと思う。