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そのとき、どうしてもかき氷が食べたかったんだ


 

曇天。朝確認した天気予報では、雨が降り出すのは21:00からだった。

日頃の運動不足と冒険への体力づくりとして、徒歩出勤。いつもより早く上がれそうだったので、私はスライムちゃんと大輔(カメラ・PowerShot G5 X)をバックパックに入れていた。


職場を出る前に同僚が「雨が降る前に急いで出たほうがいい」と言った。

どうやら15:00前になると天気予報が変わっていたらしい。

街では大きなお祭りがあった。それものぞきたいという気持ちもあった。お祭りはわくわくするし、屋台をのぞくのは好き。

それもお楽しみの一つだったのに。

私はとりあえず、なるべく早く退勤した。だって傘を持っていないんだもの。



異動から1年2か月。どうやっても運動不足だ。そのせいか、汗腺がうまく育たない。滝汗で「ふぅ!体温調節してやったぁ!」という完全燃焼すっきり感がない。

気温は朝晩は肌寒く、日中はTシャツでいい日が続いている。

うまく汗がかけない。暑いんだか寒いんだかわからない。

身体は不調を訴えている。前日の夜も水やお茶を飲んでも飲んでも渇きが癒やされることがない。まずい、このままでは熱中症になってしまう!


そんな思いを抱えて、とにかく歩く。嫌な雲が空を覆う。

10分ほど歩いたときに、ついに来た。ぽつんぽつんの小さな雨粒が降ってきた。まだ濡れて大変なほどじゃない。

なんとか祭りに行けないか探りながら、足を進める。


熱が身体に籠もる。

このとき私は猛烈にかき氷が食べたかった。

しゃくしゃくスプーンで氷をつつき、頭がキンキンするほどのかき氷を全身で求めた。


雨はうるさいほどではないが、全身をしっとりとさせる。

自分の行動をどうするか悩む。

とにかく雨がひどくなる前に家に向かうか。それとも祭りか。かき氷か。


Google Maps で思わず「かき氷」を検索してしまう。有名な高級かき氷(1杯1,000円くらいしちゃうヤツ!)のお店ばかりヒットする。

いやいやそんなんじゃなくて、もうちょっとカジュアルなのでいいんだけど。


近くにいいかき氷屋さんはなく、祭り会場に近づくとひどい人だ。あの人混みの中をかき分けてかき氷を食べる気になれない。お店も屋台もいやだ。

私は路面電車に乗ることにした。

なるべく早く家の近くまで進み、そこからファミレスに飛び込もう。


ぎゅうぎゅうの乗客を乗せた路面電車の窓には、雨がてんてんと線を描いていく。走行しているからか。それとも雨脚が強いせいか。

ちょっと不安な気持ちになる。


降りるとさっきよりかは雨粒が大きくなっていた。

とりあえずファミレスだ!かき氷を目指せ!

私は早歩きで進む。


という、臨場感を持ってファミレスに飛び込んだ。機械化が進んでいて、と書くとなんだかSFっぽいな。席も自由ではなく人数を入力すると指定された。オーダーもテーブルのタブレットからする。滅多にファミレスに行かないので、どきどきしちゃう。慣れないんだ、こういうの。

そして注文してから15分以上が経った。

指定された席からは外が見えないため、雨脚の状態がわからない。暇でスライムをカメラやスマホで撮り、野帳に少し書きつける。が、なんだか落ち着かない。


ようやくネコ型の配膳ロボットがやってきた。が!かき氷の上に乗っているはずの固めの生クリームが転げ落ちたのか、トレイの上にごろりとあった。

さすがに店員さんを呼んだ。「クリームを載せ直します」と言われたけど、そういう問題でいいんだっけ?

思った以上にかき氷で待たされたので、不機嫌が増してしまった。


で、ようやくやってきたよ、青いかき氷が!

パチパチキャンディーとレモンシロップをかけると、ずっとパチパチはじける音がして、青いシロップは紫色に変わった。アジサイみたいだ。

ここでもスライムと記念撮影。色合い、似合ってるよ!


がしがしと食べて、ソッコー撤収。

お店を出たら、雨はほとんど止んでいた。ラッキー!足早におうちに向かった。