その集団のボスは私を見ると「泡盛でちゅ~」とからかってくる。
ボスとその仲間たちは例年、川のそばでお花見をしていた。縁あって私もそれに紛れ込んだ。あまりよそ者が入ってくるのをよしとしないボスだったが、なんだか面白かったみたいで、お仲間を通じて翌年もお花見に呼んでもらった。
お花見は食べ物、飲み物は持ち寄りだった。アウトドアな人たちなので電池のランタンや熱源その他諸々がどんどん出てきて、春とはいえ夜はまだ冷え込む中、桜そっちのけで暖かい食べ物にありつくことができた。
初回は突然のことで何も持っていかなかった。手ぶらでいいと言われたが、2回目には飲み物を持っていくことにした。ビールと日本酒が出てきて、皆さん、結構飲んでた。
ボスはマイ猪口を持ってきていた。紙やプラのコップで飲むよりおいしい。私もマイ猪口を持っていくようにしていた。
それで、持って行ったのが泡盛だった。
アルコールをたくさん飲む。きっと強い酒も飲めるに違いない。氷も水もあったはずなので少し薄めることだってできる。と考えた。
その頃住んでいたところと夜桜宴会場の間には酒屋さんがあって、量り売りの泡盛があったので、こういう選択になったのだ。
私にとってはごく普通の流れで持っていった泡盛だけど、会場ではなかなかの物議をかましたようだった。私は「???」となるばかりだった。どうやら若い(そうでもなかったと思うけど)女性が泡盛を持ってくる、というのが意外性の塊だったらしい。そうかな。今でも疑問だ。
それでボスは他の人に私を紹介するときに「こいつは花見に泡盛を持ってきた」と言うようになった。自分が滑舌はよくないのは知っているけれど「泡盛でちゅ~、と持って来たんだ」とボスは言う。断じてそんなことはないぞ、ボス!それに量り売りだ。1合くらいしか持っていかなかったと思う。
SNSで酒器や食器などを見せちゃうハッシュタグが流れてきた。そう言えば私もマイ猪口持って花見に行っていたなぁ、とちょっと思い出したんだ。
ちなみに私のマイ猪口は母のお土産の壺屋焼で活きのいいお魚が1匹描かれている。なかなか大きくてたっぷり入るものだ。
■追記
夜桜のことが出てきたので、2024年の縮景園での夜桜狩りの写真を選んでみた。ぶれぶれになるのはなんでじゃ?
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